小さな幸せ

調べた住所と手紙を握り締め

駅に飛び込んだ。

緑の窓口の伯父さんは、

今日中に此処に着く電車の切符を下さいと。

勢い込んだ円に、丁寧に路線図を使って乗り換え方法を説明した。

大宮に出て特急に乗るのが一番分かりやすい。

着くのはもう夜になる。

明日出る事を提案してきた。

「その先はタクシ-を使います。」

そう言ってそこまでの切符を買い、上り電車に飛び乗った。




西日が差して、閑散としている電車の中で

一人何度も手紙を読み返していた。

こんな情熱的な面が、自分どこにあったのか?

目を閉じれば、先生の笑い声が聞こえる。



あなたは今何を想っている?


手紙を書いた時点で、私への気持ちなど捨ててしまった?


あなたの言葉が聞きたい、


あなたの笑顔が見たい。


私が行ったらどんな顔するんだろう。




円の心は電車のずっと先まで飛んでいた。