小さな幸せ

「土方、俺、四月から地元帰って小学生の教師になることになったんだ。」

「え?」

「採用も決まって、明日引越す。」

「そんな。」

高田Tはずっとそこにいて応援してくれると思ってたのに、

そんな風に勝手に決め付けてた。

「お前のお陰かな、ほんとにやりたいことはどんな事しても、

 掴みとらなきゃ駄目だって土方見て思ったんだよ。

 ずっと臨時講師でもいいか何て甘いこと思ってたから、

 お前、凄いよ。」

「先生手紙とか書いていい?住所教えて?」

「うん。落ち着いたら俺から手紙出すよ。

 そうだ、サインして、土方。宝ものにするから。」

差し出された小さなカ-ドに、書きなれたサインをくるくると描いてから、

『ありがとう先生、好きでした。』

と書き添えた。

高田Tはカ-ドを受け取りフッと笑って。

「光栄だな。」

そう言って手帳に挟んでしまって。

円の心を揺らした笑顔を残して

去って行った。