小さな幸せ

容姿端麗で人気漫画家の円、特別親しくした友だちは居なくても、

あこがれの対象だった。

同級生や後輩からサインと握手攻めにあった。

人ごみから逃げるように中庭を出た所で高田Tに会った。



「土方!卒業おめでとう。」

「先生。」

「お前結局、大学受けなかったな。

お前なら国公立何処でも行けたぞ。まあ、東大京大は無理だろうがな。」

「大学はいつでも行けますから。

 今は自分だけしかできないことやり遂げたいんです。」

「そうだな。頑張れよ。俺も本買うから。」

「げ、本気ですかあ?先生に読まれるのはちょっと嫌かなあ。」

恋をしてから、円の作風が変わったと、編集者や、読者から言われる。

いわゆる、自分と高田Tとの恋物語が原稿にたたきつけられているためだと

円自身も自覚している。やっぱりそれはを高田Tには見られたくない。