小さな幸せ

茫然自失とはこういう時に言う言葉だ。

惣のお母さんに会った時、

ファンです的なことを言ったと思う。


お母様は痛く感激され

そのあとなぜか衣裳部屋に連れていかれ。


ドレスを手渡され着るように言われたのだ。


何が何だか…

白いデコルテの開いたドレス。

まるで、ウエディングドレスのような…

まさかね。


でも、ちょっと可愛いかも。

大きな鏡に自分を映してくるりと回ってみたりして。


女ってドレスに弱いよね。


ドンドン!!


ドアを叩く音


「和実!そこか?」


「惣?」


ドアを開けて飛び込んできた惣さんは白いタキシ-ドを着ていた。

わあ、カッコいい!!


などと思っているうちに

惣はあたしの手を掴み


「逃げるぞ!!」

と言うと走り出した。



「そうはさせないわよ。

 惣、今日こそ付き合って貰いますから。」


真っ赤なドレスに真っ赤な口紅を付けた

魔女のようなお母様が立ちはだかった。



はあああぁ

「判ったよ。ギブアップだ言われたとおりにするから。」


両手を上げてつぶやいた。


なになんなの?何事?