「浅野さんこれは犯罪です。

　法的に訴えるつもりでいますから。」


惣さんの低い声で我に返った。


私は浅野先輩のお兄さんと手を繋ごうとしていたところだったんだ。

「あの、惣さん、大丈夫ですから…」

「え？」

「っと、だから、もう少し待っててくれませんか？」


「和実　、君なんで、」


惣さんから離れて、


「ちゃんと話してくれればよかったのに、

　こんなことするからですよ、浅野さん。

　どうしてこんなことしたか判らないけど弟さんに会います。」



「どうしても、一日も早く、

　会って貰わなくてはならなかったんです。

　鈴木さん。

　弟は事故で視力を失っているんです。」