行ってくる!!って言って飛び出したものの…やっぱり無理だよぉ……。
だって、この場所は………
昔から逃げてた。
だって彼の事を思い出さずにいられなくなるから。
体育館の方からボールの音が聞こえてくる。
……ヤバイ……
段々、あの頃の記憶が蘇ってくる。
「……中村……??」
「はっ……斉藤君……」
目の前には斉藤君が立っている。
「中村、何で泣いて……」
「えっ?」
自分でも気づかなかった。
いつの間に涙なんて……ーーー。
「ごめんね、急に泣いたりして。
あのね私、斉藤君にお礼を言いに来たの!!」
「お礼……?」
「うん、私を保健室まで運んでくれて…
ありがとう!!」


