「蝶、お前一人でこんな夜遅くにここに来たのか?」
すこし怒ったように土方さんは私を見る。
「違いますよ。原田さんと一さんと沙織と一緒です。ってあれ?みんなどこ?」
私はあたりをきょろきょろと見渡す。
どこにいったのかみんなはいなかった。
「ったく。一人じゃねえならいい。」
そう言って土方さんは私の元へ寄る。
「土方さんは今おかえりですか?」
「ああ。帰っている途中で蛍が見えてな。そして追ってきちまったってわけだ。」
そう言って土方さんは優しく蛍を見つめる。
すると土方さんの周りに無数の蛍が寄ってくる。
「ふふ。土方さんは相変わらず優しいから蛍が寄ってくるんですね。」
1年前と変わらぬ光景に私は微笑む。
すると急に土方さんは私を持ち上げた。
「っきゃっ!」
「俺が優しくするのは蝶だけだ。」
そう言って優しく微笑む土方さん。
その笑顔をみるのもなんだか久しぶりで私は土方さんの首にぎゅうっと抱きついた。
「土方さんだ・・・・」
「俺じゃなかったら誰なんだよ。」
苦笑いをこぼしながらも頭をぽんぽんとしてくれる。
「最近、土方さん忙しそうなのに頼ってくれないし、休んでもくれないから心配だったんだから・・・」
「蝶・・・・」
土方さんは無言でぎゅうっと抱きしめてくれる。
その腕の温かさは本物で、なんだか泣きそうになってしまう。