そして沙織は少し口を動かして唄を紡ぎ始めた。

その歌声はまるで誰もの心を癒してくれるようなそんな歌声だった。

そしてふと歌うのをやめるとこちらを見た。

「ふふ。みんなこちらに来たら?」

蝶「え、沙織気づいてたの?」

沙「ええ。蛍に御願いしたから。」

そしてそぅと指を差し出すと蛍がそっと止まった。

沙「私の大切な人たちを連れてきてって。もちろん、気づかない人もいるのはわかっていたけどね。」

イタズラっぽく微笑む。

原「気づかない奴は新八と平助だな。」

一「うむ。あやつらは一度寝たら起きぬからな。」

蝶「なんだか不思議・・・」

私は九尾の神と桜乙女という巫女の間に生まれた子供だ。

もちろん、それなりの不思議は理解しているつもりだ。

だけど、この時代はそれ以上に不思議だ。

だけどまるでその不思議は心地いい。

そして私たちはしばらく蛍と戯れた。