沙織からもらった着物を土方さんに見せたくて部屋に向かう。

しかし土方さんはなにやら難しい顔をして書類とにらめっこしていた。

わたしは台所へ行きお茶を入れて部屋まで運ぶ。

「土方さん。今大丈夫ですか?」

「おう。蝶か。」

土方さんの声を聴いて私は襖を開ける。

「ただいま。お仕事お疲れ様です。お茶入れてきたのでどうぞ。」

「ああ。すまねえな。」

そう言って土方さんは肩を回しながらこちらに近づく。

そしてお茶を飲む。

「蝶。お前綺麗な着物きてるな。」

そう言って穏やかに微笑む。

「沙織からもらったんです。」

「よく似合ってる。まさに前は春が似合う女だな。」

「ありがとうございます。」

土方さんに褒めてもらえて少し頬を赤く染める。

そして今日の買い物のことを話す。

「そうか。原田の着物をか。よし、今度の俺が休みの日に呉服屋に行くぞ。」

「え?」

「俺もお前に着物を選んでやるよ。その着物を着るたびに俺を思い出すようにな」

そういって少し意地悪く微笑む。

わたしはそっと土方さんの傍に行き肩に顔をうずめる。

「私はいつでも土方さんのことを思ってますよ。忘れられる日があるわけありません。」

すると土方さんは優しく微笑みそっと私に口づける。

「俺もお前を忘れる日なんて一日もねえよ。」

「忘れたら怒ります。」

「ああ。」

そう言って微笑みあう。

すると庭で沙織と原田さんが歩いていた。

原田さんは沙織が送った着物を早速着ていた。

そして無邪気に笑う原田さんを微笑ましい人だなと思った。