誠の紅桜に止まる蝶~番外編~

「蝶ちゃんが二人!?」

後ろでいきさつを見守っていた沖田さんが声を上げる。

土方さんも目を見開いていた。

私とよく似た顔の彼女は土方さんを見ると切なそうに微笑む。

「土方さんだ・・・・」

「お前、蝶か?」

土方さんが私ではないもう一人の彼女に尋ねる。

「なっ!土方さん、私はここにいますよっ!?」

私は慌てて叫ぶ。

だけど彼女はこくんとうなづいた。

「そうですよ。私も蝶。正確に言えば、未来からきたの。私は未来のあなたですよ。」

そう言って彼女は私をまっすぐに見つめる。

「え・・・・?」

未来の私!?

わけがわからず頭が混乱する。

そんな私を見ながら彼女は静かに口を開く。

「あなたは、この時代に居ないほうがいいんだよ。すべてを忘れて、元の時代に戻りなさい。」

「はっ?意味がわからないから!!」

私は混乱しながら叫ぶ。

「てめえ。いきなり何を言うんだ?」

土方さんが未来の私と名乗る彼女をにらむ。

「この時代に絶対なんてないのよ。いずれは別れがくる。その悲しみを知る前に貴女はもとの世界に戻りなさい。」

そう言って彼女は私を強くおす。

「きゃあああああっ!!」

とたんに足元から崩れていくような感覚に襲われる。

「蝶!?」

土方さんの声が遠くに聞こえる気がした。