「いま、泣いていませんでした?」

「・・・・え?」

彼女は不思議そうにこちらを見つめる。

今のはきっと見間違いじゃないはず。

「泣いているように見えたから・・・」

暗くて顔がよく見えないが、雫だけが見えた気がした。

「さあ。私の心が泣いているのかもしれませんね。」

「心が?」

「ええ。愛しい人の元を離れてしまいました。だけど後悔はしておりませんわ。私の運命はそう言う運命だったのですから。」

そう言って彼女は微笑む。

「そんな・・・・」

「あなた、なぜここにいるのですか?」

「え?」

「なぜ、この時代にとどまるのです?」

彼女の言葉の意味を理解するのに時間がかかった。

彼女は私が時をとんだことを知っている・・・・?

「それは・・・・」

「あなたは、きっと将来苦しむことになるわ。」

そう彼女が言うと雲が晴れて月明りがあたりを包む。

「っ!!!!」

私はその顔を見て驚いた。

「その顔・・・・・」

彼女は私とよく似た顔をしていた。