「なんでだ?」

わけがわからず首をかしげる。

「そのおにぎりは蝶が夕食を食べていない土方さんのためにわざわざ握ったんですよ?なのに新八さんに上げたら蝶の気持ちはどうなるんですか。」

珍しく正当なことを言う総司に驚きながらもしまったという気持ちになる。

「あれは蝶が握ったのか?」

「そうですよ。わざわざ土方さんのためにね。」

「だけどどうして俺が新八にやったって知ってるんだ?」

「そりゃ、新八さんが直接蝶ちゃんにお礼を言ったんですよ。本当あの人はばか正直でうからね。」

「あいつ・・・」

俺は軽くため息をつく。

「まず蝶ちゃんに謝ったらどうですか?」

楽しそうに俺に言う総司。

「ああ。そうだな。」

そして総司に背を向けて歩き出す。

そこまで気が回らなかった。

疲れているかもしれないと思いながら蝶を探す。