誠の紅桜に止まる蝶~番外編~

「は、一さん私あるけますよ・・・・」

小さな声でつぶやく蝶。

「だめだ。もし歩いてまた転んだらどうするのだ?」

「うっ・・・・・」

私は言い返すことができなくて言葉に詰まる。

「子を持つ父親とはこのような気持ちなのかもしれないな。」

「えっ?」

一さんが少し嬉しそうに微笑む。

そして私は一さんに運んでもらう。

「副長。いいですか?」

「おう。斉藤か。入れ。」

「いえ、すみませんが襖をあけていただけますか?」

「なんだ。どうしたんだ?」

そう言って襖を開けた土方さんは絶句する。

「副長。実は・・・・」

一さんがさっきまでのいきさつを告げる。

「っはあ・・・・蝶。お前はどんだけお転婆なんだよ。」

「ひ、土方さんの俳句よりはましですっ!!」

「蝶・・・てめえいい度胸じゃねえか。」

「ひっ!!」

にやっと笑った顔がまさに鬼だった。

「は、一さん逃げてください!!」

「お、おいっ。」

一さんは私の言葉に戸惑いの表情を見せる。

「お願いお父さん!!!」

私がそう叫ぶとこくんと頷く。

「っおい!斉藤っ?」

一さんが走り出したので土方さんは驚きながら追ってくる。