「蝶の芸者姿、今度は俺のためだけにみせてくれよ?」

「どうしようかなあ?」

私はドキドキさせられっぱなしなのが悔しくてわざともったいぶる。

「見せてくれねえのか?」

まじかで視線が合う。

「なっ!!き、今日の土方さんずるいっ!!」

「なにがだよ。」

そう言って楽しそうに微笑む。

「今日私ばっかりドキドキさせられてるもん!!」

「ふっ。いつもは俺がお前にドキドキさせられっぱなしなんだから今日ぐらいはいいじゃねえか。」

「え?」

「蝶。今日のお前も綺麗だけどいつものお前も綺麗だ。」

そう言って愛おしそうに見てくる土方さん。

私はたまらずぎゅうっと抱きつく。

「・・・・好き・・・・だからね・・・」

「ああ。わかってる」

そう言って優しく抱きしめ返してくれる土方さん。

「っふうっ。なんだか今日来てよかったかも。」

「なんでだよ?」

「だっていろんな土方さんがみれたんだもん。」

たまにはいろんな土方さんをみるのも悪くないなと思った。

「俺も今日はお前の綺麗な芸者姿が見れたから来てよかったよ。」

そう言って優しく微笑む。

ああ。

私はもう君菊さんに嫉妬することはないだろう。

だって、こんなに土方さんは優しい愛に満ちた瞳を私に向けてくれるんだもん。

そう思いながら私は愛おしい人の肩に寄り添っていた。