顔を赤くして言う空我くんに、私はニコリと微笑んだ。


「『笑顔が一番!』……これ、空我くんの受け売り!」


「桜先輩!」


クスクスと笑う私に、空我くんもつられて微笑む。


ノートのページが風でめくれて、今日の観察日記が開かれる。


そこには最後の行に、小さく私が記した気持ち。


『明るい笑顔も、苦手があるのも、スキ』


ねぇ、空我くん。


私ってまだまだ人間観察の癖が抜けないけど、それでもね。


今はそばに居られる幸せを、噛みしめさせて――……。