柳幻荘はすぐに分かった。
凄く大きな建物で、日本庭園は見事なまでに、手入れが行き届いている。
私は正面の入口から入った。
建物の中はとても静かで、和服姿の女性が何人かいた。
私はその中の1人に話かけた。
「あの、すみません。香心流の家元はどこにいらっしゃいますか?」
「どちら様ですか?失礼ですが、お約束頂いておりますか?」
「約束はして無いですが、家元にお届けもので…。」
目の前の女性は、明らかに怪訝そうな表情をしている。
私を上から下までくまなく見るかのように…。
そういえば、制服のままだった。
私みたいな子は来るような所じゃ無いんだ。
私は困って、家元夫人から頼まれたと説明しようとした……その時―――!!
廊下の奥に隼斗さんの姿を見つけた。



