家元の花嫁【加筆修正中】



藤堂家に帰宅したら―――。


「ただいま、戻りました。」


「いい所に帰って来たわぁ!!」


「えっ!?どうかしましたか?」


「今日、華道家の桐島さんって方と会食になってるんだけど、家元の着替えを渡しそびれて…。届けようと思ってたところなの。」


「私がお届けしましょうか?」


「お願いしていいかしら?執事の杉下は、午後から半休してて…、困ってたから助かるわ。」


「では、荷物を置いてきます。」


「場所をメモするわね?」


私は部屋に荷物を置いて、再び玄関へ戻った。


「ゆのちゃん、これが柳幻荘(ゆうげんそう)。日本庭園と大きな和風建築の建物が目印よ。これは交通費ね?」


「交通費だなんて…いりませんから。」


「ダメよ!!ホントならお駄賃をあげたいとこだけど…帰りは隼斗の車に乗って来て。それから、美味しい食事でもして来なさい。ねっ!?」


「……はぁ。……行って参ります。」


私は家元の着替えを持って、家を出た。