家元の花嫁【加筆修正中】



玲の質問に言葉が詰る。


「だってさぁ、実際まだシてなくても、結婚したらその、一応『夜』がある訳じゃない?好きでもないのに相手するのはキツイでしょ」


私は玲が口にした『好き』という言葉が引っ掛かった。

知らない単語ではないんだけど、

その言葉の差す意味がイマイチ理解出来ない。


数日前に、突然目の前に現れた人。


しかも、いきなりプロポーズされ、

その日のうちに同棲がスタート。


何がなんだか分からず、気づけば数日。


普通に考えても、

急に『好き』になれるかなんて、分からなくても当然なんだけど。


私にはその『好き』の指標が分からない。

どういうのが、『好き』というものなんだろう。


りんごやバナナを『好き』とは違う気がする。

友達や家族の『好き』と同じなのかな?


「ねぇ、玲。『好き』って、何?」

「えっ?!…………好き……ねぇ」


玲は私が恋愛経験ゼロなのを知ってる。

高校からの付き合いだけど、

家庭の事は勿論、色んな事まで話せる唯一の存在。


だから、たぶん……私が分かるようにと考えてくれている。


視線を泳がせ、考え込む玲。

そんな彼女をじっと見つめていると、