「ただいま――」 「只今戻りました」 「お帰りなさいませ」 執事の杉下さんが玄関で私達を出迎えてくれた。 「客?」 「はい」 玄関に見慣れぬ男女の靴が… 誰だろう…。 「ゆの様に……」 「えっ!?私にですか?」 「はい……」 「誰だ?」 「その………」 杉下さんは言い難そうに。 隼斗さんは眉間にしわを寄せ、私の方を見た。 「ゆの、俺が付いてる」 隼斗さんは手をギュッと握ってくれた。 「………はい」 私と隼斗さんは、来客が待つと言う“藤の間”へと向かった。