彼は、茶道『香心流』の次期家元継承者として、
しきたりに従い家元を継ぎたいらしい。
その“しきたり”っていうのが、
『24歳の誕生日までに婚姻し、家元を継承すべし―――』
………と、いうものらしい。
でもって、彼の誕生日が『3月17日』
その日までに結婚(入籍)しないと、継承権を失うらしい。
一族の人達は財産目当ての人がほとんで、
家元の座を親族で争っているという。
彼は『家元』の座がどうこうではなく、
代々継いできたものを邪な考えの人に渡したくない……らしい。
その考えが本心ならば、本当に立派な事だけど……。
私には今一つ、腑に落ちない事がある。
それは……――……。



