君が居た世界が、この世で一番愛した世界だったから。

誰だろう、何をしているのだろうという事ばかりが気になった。
ドアの向こう側の人影はぼんやりとしか見えず、大きく動く気配が無い。

覗いてみようか?
ドア越しなのだし、誰が居ても大丈夫だと思った。
不審者だったらそのまま玄関から遠ざかって、パパに一言連絡を入れよう。
それに、不審者だと決まったわけでは無い。
不審者かもしれないと思うのは、ドアの向こう側の人影が、インターホンを押すだとか、そういう行動が無い事も変だと思ったし、今日は来客の予定も無かったからだ。

動く気配の無い人影に、あれこれと考えていても仕方が無いし、魚眼レンズを覗いてみようと、私はドアに近づいた、その時だった…。