君が居た世界が、この世で一番愛した世界だったから。

藤原さんに対して犯してしまった罪。
私に対して犯してしまった罪。
それへの謝罪を求めていたはずだった。
罵りはしないものの、「最低な事をした」んだと、きちんと分かって欲しい。
その為に私はもう一度、彼に会う必要がある。

もう会えないと分かった時、夜くんは全ての責任を放棄して、逃げてしまったんだと思った。
私の為なら何を捨てても、何を犯してもいい。」と豪語していた癖に、夜くんも結局は自分の事が一番大事だったのだと…。

そうやって思っていた事も、憎んだ事も、ただ夜くんに会いたいとか、夜くんのした事を許してはいけないとか、私の中で保っていたい「常識」や責任感を取り繕う為の言い訳なのだと、気づくのに時間はかからなかった。