君が居た世界が、この世で一番愛した世界だったから。

包まれ、甘える事は心地良い。
甘え過ぎる事に不安を感じる事も時々はあるけれど、しかしそんな時、彼は決まって口にした。

「輪廻が俺に甘えてくれる事が俺の為になる。
君だけが存在を証明してくれる。
だから甘えちゃいけないなんて言って、俺を否定しないで。」

愛情が依存になってしまったら、二人は駄目になってしまうかもしれない。
けれど彼にとって依存こそが愛情なのだと感じる。

彼に甘え切ってしまう事への不安の中、幸福そうな微笑みが、甘い渦の中に私を引きずり込む。
この人なら大丈夫、全てを受け入れ慈しみ、甘えまでも愛情だと言ってくれる人が、彼以外にいるはずがないと、その腕に抱かれながら私は本気で思っていた。