君が居た世界が、この世で一番愛した世界だったから。

私の自宅と、美神さんのマンションへの別れ道まで、私達はハイテンションで、ずっと笑い続けていたように思う。

別れ道について、美神さんは一つ息をついて、笑った。

「じゃあね、ツッキー。今日は付き合ってくれてありがとね。」

「いいえ。私の方こそ、ありがとうございました。」

「まだまだ苦しい事の方が多いけどさ、頑張ろうね。負けちゃ駄目だよ。」

美神さんは右の掌で拳を作り、トン、と私の胸に軽く当てた。
心臓の近くをトン、とされた気がして、ドクン、と心臓が鳴るのが分かった。
スッと背筋が伸びる思いになって、私は今日一つ、成長出来た気がした。

「じゃあね、また突然誘うかもしれないけど、それまでちゃんと、生きてなさいよ!」

「はい、生きます。」

顔を見合わせて笑って、私達は手を振って、別れた。