君が居た世界が、この世で一番愛した世界だったから。

昨日の今日なのに、いつもと同じ調子で、それどころか私の方を気遣ってくれる藤原さんに、出会えて良かったと本当に思った。
バイトなんてしていなかったかもしれないし、していたとしても、全然違う場所だった方が、可能性が高い。
私は本当に、恵まれていると思った。

顔を見合わせて少し笑ってから、藤原さんが言った。

「本当はね、昨日、月城さんの彼に言いたかった事があるんだ。」

藤原さんの眼差しは強く、あんな風に優しく微笑む人が、こんな表情もするんだって思った。