「り…んね…。輪廻、輪廻輪廻輪廻…、輪廻。
君を愛しているんだ!愛おしくて愛おしくて…、苦しい。
君がいっそ俺を嫌いになれば良いと、祈りさえした!
それでも君が俺を求めてくれるのなら、こんな世界ではいけないんだよ。
終わりの中にこそ、俺と輪廻の永遠が在る…。
毎日毎日毎日毎日、どうしたって駄目なんだ。どうしたって愛しているんだ。どうしようもなく、君だけを…、抱き締めていたい。君だけに愛していると叫びたい。
君が居たから、こんな世界でだって俺は…、あぁ…。
なのにどうして君を、殺せるっていうんだ………。」

夜くんの頬を、透明な涙が伝う。
強く、固く結ばれた彼の掌に、後悔が目に見える様だった。

何を言ってあげられれば、彼は救われたのだろう。
どうしてただ人を愛するというだけで、こんなにも人は傷つかなければいけないのだろう

ゆっくりと立ち上がり、夜くんが私の髪の毛に触れた。
夜くんは、私の髪の毛に触れる事が、好きだった。

「輪廻。愛しているよ。
君が居たから、俺はこんなにも、世界を愛している。」

ゆっくりとゆっくりと、離れていく夜くんの背中に、私は何も言えなかった。
これで最後だと、分かっていた。
最後に夜くんを救える言葉を私は持たないまま、彼がいなくなった部屋で、声を上げて泣いた。

いつの間にか電話は鳴り止んで、私の嗚咽だけが、いつまでもいつまでも、響いていた。