「ぃ…ゃ…ゃめ………。」

声が出ない。叫び出したい程体は恐怖しているのに、夜くんの回す自分の掌さえ動かせない程に、恐怖で体が硬直しているのだ。
頭の奥が痺れて、硬くて大きな物を飲み込んでしまった様な、喉の異物感。
呼吸を求めて、一瞬、聴覚と視力が冴え渡る。

「さぁ、輪廻、早く。
早くしないと俺だけが逝き遅れてしまう。
遠い場所で、君を一人で待たせてしまうなんて堪えられない。」

少しずつ遠のく聴覚の向こうで、耳鳴りが近くなる。
終わりなんだと思った。頭の中はおかしな程に、冷静だ。

そうだ。終わりなんだよ。
これ以上、始まりなんてあるものか!
こんな終わりの向こう側に、救われる物なんてありはしない。