「私の気持ちは、藤原さんが言っていた通りです。
私はあんな事して欲しくなかったし、こんな愛情表現は望んでいません。
ただ普通に愛してくれていたら、私はそれだけで良かった…。
今の夜くんの愛情は、はっきり言って歪んでいます。
少しのヤキモチや、他の男の人との交流を、あんまり過剰にならない様に注意を促す程度なら、もちろん理解出来ます。
でも、夜くんの束縛はそうじゃない。
あなたの愛し方は………、恐怖でしかないの…。」

出来るだけ、冷静にゆっくりと言葉を吐く。
こうなってしまった今でも、夜くんの心に届く物があると、諦めたくなかった。

困った様な、今にも泣き出してしまいそうな顔で、夜くんは静かに言った。

「輪廻のその言葉が本音なら、君が本当に苦しかったと言うのなら、謝るよ。
だけど…。だったらどうして君は、こんなにも俺を混乱させるの。」

混乱、と彼は言う。
私の何が、夜くんを混乱させているというのだろう。

「君は俺を、愛しているという。
たった一度きりのその言葉なら、それは一時の気の迷いだったのだろうって、俺は諦めがついただろう。
だけど君は繰り返し、俺に愛してるって言うんだ。
輪廻、昨日の事を憶えているかい?
俺に、どこにもいかないでと君は泣いたんだ。君の涙がずっと俺を掴んで離さない。
…後悔したんだ。もっともっと君を愛しているときちんと伝えなきゃ、こんなに大切なのに、俺は君を泣かせてしまう。
なのに輪廻…。こんなに君を愛しているのに、どうして君は悲しいの。
愛してるよ、輪廻。愛してる。愛してる。
俺は君を守りたい。守り抜かなきゃいけない。
だったら君を閉じ込めてでも、縛りつけてでも、ただ君を守りたいだけなんだよ。
なのに君は苦しいのかい?」