何を言っても、火に油を注ぐだけだった。
私は本当に馬鹿だ。
夜くんの今までの行動や言葉をきちんと理解していれば、私が向ける言葉は全て、夜くんの為だけに許されると、すぐに分かったはずなのに。
慰めも、救いの言葉も、哀れみでさえ、私の言葉は他の人の為には、在ってはならないのだ。
ゆっくり、ゆっくりと、夜くんの爪が、藤原さんの首筋に食い込むのがはっきりと見えた。
クッ…と低く聞こえた声が、痛みに表情を歪ませる藤原さんの物なのか、楽しそうに厭らしく笑う夜くんの物なのか、分からなかった。
「君が…、そうやって誰かを傷つけようとするたびに、月城さんは震えながら、同じ様に傷ついている…。
君のその行動が月城さんの為であればある程に…。
なぁ…、愛しているのなら、何で気付いてあげないんだよ!!!」
どこまでも、どこまでも、夜くんの「異常」が私を追いかけてきては、その異常の中に私をも取り込もうと笑っている。
「異常」から私を救い出そうと、藤原さんが闘ってくれている。
それなのに、私は何も出来ずに震えるだけだ。
私のせいでこんな事になってしまったのに。私のせいで藤原さんを傷つけてしまっているのに。
手足は震え、声さえも出ない。
しっかりしなきゃ。何か言わなくちゃ…!
ガチガチと歯を鳴らしながら、震えるだけの自分を、心底呪った。
私は本当に馬鹿だ。
夜くんの今までの行動や言葉をきちんと理解していれば、私が向ける言葉は全て、夜くんの為だけに許されると、すぐに分かったはずなのに。
慰めも、救いの言葉も、哀れみでさえ、私の言葉は他の人の為には、在ってはならないのだ。
ゆっくり、ゆっくりと、夜くんの爪が、藤原さんの首筋に食い込むのがはっきりと見えた。
クッ…と低く聞こえた声が、痛みに表情を歪ませる藤原さんの物なのか、楽しそうに厭らしく笑う夜くんの物なのか、分からなかった。
「君が…、そうやって誰かを傷つけようとするたびに、月城さんは震えながら、同じ様に傷ついている…。
君のその行動が月城さんの為であればある程に…。
なぁ…、愛しているのなら、何で気付いてあげないんだよ!!!」
どこまでも、どこまでも、夜くんの「異常」が私を追いかけてきては、その異常の中に私をも取り込もうと笑っている。
「異常」から私を救い出そうと、藤原さんが闘ってくれている。
それなのに、私は何も出来ずに震えるだけだ。
私のせいでこんな事になってしまったのに。私のせいで藤原さんを傷つけてしまっているのに。
手足は震え、声さえも出ない。
しっかりしなきゃ。何か言わなくちゃ…!
ガチガチと歯を鳴らしながら、震えるだけの自分を、心底呪った。



