君が居た世界が、この世で一番愛した世界だったから。

後退した藤原さんは、それでも人ひとり分程の距離しか取れていない。
なのに藤原さんは怯まなかった。

「君がやっている事は間違っているよ。
こんな事をしても月城さんは嬉しくないはずだ。どうしてそれを分かってあげられない?」

「分かっていないのはお前の方だ。嬉しくないだって?見ろ。泣いて喜んでんだろうが。
俺は輪廻を愛している。輪廻も俺を愛している。そしてこの涙…。
あぁ…、輪廻。俺の愛が伝わったんだね。嬉しいよ。可愛い輪廻。待ってて。こんな害虫はさっさと駆除して、君を抱き締めにいくから。」

彼の脳内では、もはや私の行動、言葉、表情の全てが、彼に贈られる賞賛として、脳内変換されている。
嫌悪も恐怖も、何もかもが喜びとして映り、行動全てが愛情故に成される物だと思っている。

あぁ………、もう、限界…、限界…、もう…、ヤメテ…。

夜くんがまた一歩、藤原さんに向けて踏み出し、藤原さんに延ばす腕は、鋭利な刃物のように、彼の息の根を捜して這い回る。