彼が軽く私の手を引いて、そこに立ち止まらせる。

「輪廻、何度も何度も言っているはずだろう?
君無しでは生きていけない俺が、どうして君から離れられる?」

優しく手を握ったまま諭すように彼が言う。

夜くんの愛情の形と、私の愛情の形は違う。
それでも、決して交わる事は無いと思っていた二人の愛情の形も、こんな形でクロスすることがあるのだろうか。
彼の「異常」さえも愛しいと、無くてはならない物と、遂に私が思うようになれば、私の想いもまた、「異常」な物となるのだろうか。
それとも、彼に言わせれば理解できない世間こそが異常なのかもしれない。

今では抱えきれない程、大きく育った彼の愛情を、それでも遠く離れる事への不安は矛盾として私自身を混乱させ始めていた。

彼はきっと死んででも二人の愛が本物ならば、その永遠を望み、私は生きてこその半永久を望んでいる。

私が本当に欲しいのは、どちらの愛の形だろう。