君が居た世界が、この世で一番愛した世界だったから。

食事が終わる頃、時刻は午後十時に差し掛かっていた。
遅い昼寝を取ってしまった為、眠気は無いけれど、宿題に取り掛かる気力も湧いてこない。

「夜くーん。宿題なんだけど…。」

「個人授業?シたいの?」

謎の言葉を残しながら、夜くんは微笑みながら腕を伸ばしてきた。

「そういう事じゃなくてっ。」

「分かるよ、輪廻。しょうがない子だな。
お風呂入っておいでよ。その後は二人で布団に潜ろう。その方が俺も嬉しい。」

さっきのは冗談だよ、と言わんばかりに彼は悪戯っ子の様にニッと笑って言った。
夜くんは大抵の事は言わなくても察してくれる。
自分の事よりも、常に私中心で生きているのかもしれない、だなんて自惚れてしまう程に。

夜くん自身の欲望なんて後回し。
ここ数ヶ月で気付いた事は、私が満たされる事で彼は幸福を感じるのだという事。