君が居た世界が、この世で一番愛した世界だったから。

彼の愛情はとても重みが在る。
ゾクリとさえする重みは、少しずつ私を包み込む。

「輪廻。君は綺麗だから。
この世に君という創造物を残した神を呪いさえした。
君の美しさは苦しい。君の美しさは俺を狂わせる。
君が居なきゃ死が俺を追い詰める。
汚ない手で君を捕まえようとする輩も無数にいるだろう。…だけど安心して。
何処に居たって必ず助けに行くから。
俺はいつだって、必ず君だけを守り、抱き締めたいんだ。」

「買い被り…過ぎ…です。
私はそんな風に想ってもらえるような女じゃない…。」

「君はもっと自分を知るべきだよ。
君を困らせたいわけじゃない。
だけど俺の大切な輪廻を卑下するのは、いくら君でも許しかねる。」

夜くんは私の好きな、あのとても綺麗な笑顔を見せた。

「君以上に大切なものなんて在りはしないよ。」

にこりと笑って、やっぱりお腹空いたな、とようやく箸を握った。

他人から見れば、この愛情は羨ましいのかな?
過保護で、私があまりそう思わないだけであって、執着心が強くて、大抵の人が嫌がる「束縛」にも繋がっている気がした。
時々、複雑な感情が交差して上手く飲み込めない時がある。
夜くんを手離したくはない。
彼が居なきゃ駄目なのは、私も同じだから。

他人がどう思ったって、私は今を幸せだと言える。
だったらそれで良いと思えるけれど、果てしない愛情が終わる事の恐怖すら考えてしまうんだ。