君が居た世界が、この世で一番愛した世界だったから。

丁寧に髪の毛を洗い、執念深く立てた泡で顔を包み、いつもよりゆっくりと体を擦る。
そうしてまた熱めのお湯で流し終わる頃には、頭がボーッとし始める。

私は普段から湯船にはあまり浸からない。
シャワーの温度だけでのぼせてしまうから、湯船に浸かったらきっと立ち上がれなくなる。
大袈裟だけれど、高い温度には弱い。

風呂場から脱衣所に出ただけで、スッとする冷気を感じた。
秋も終わる頃だけれど、使い終わった風呂場からは、どうせすぐに蒸し蒸しとした空気が流れ出すけれど、風呂場から出る、この瞬間が好きだ。

体を拭いて、パジャマに着替た。
着古して、お洒落着としては着れなくなったTシャツと、中学生の頃のジャージ。
きちんとしたパジャマを着るよりは、こういう格好の方が楽で、友達とお泊まりする時は、可愛いパジャマの友達を羨ましく思うけれど、結局はこういう格好を選んでしまう。

そのままドライヤーをして髪の毛を渇かしていると、せっかくシャワーを浴びたのに、うっすらと汗が滲んできてしまう。
この不快感は、一生慣れる事はないだろうと思う。

リビングに入って、グラスに冷たい麦茶を注ぎ、一息に飲み干した。
急激に冷えていく体温が、心地良い。
本格的に夜になれば、寒い、と文句を言い出す癖に。