君が居た世界が、この世で一番愛した世界だったから。

靴を脱いでリビングに入ったら、やっぱりパパとママが二人でテレビを観ていて、私に気づいて振り向いた。
ただいま、と言った私に、パパはおかえり、と言って、ママは、あんまり遅くならないでよと言った。
ごめん、と軽く謝りながら、鞄をリビングの床に放って、そのまま風呂場に向かう。
案の定ママは、輪廻!と大きな声を出したけれど、逃げるが勝ち、だ。

特に何をしたわけではないのに、体は疲れきっていて、シャワーを浴びて少しやすみたかった。

私と夜くんは、私の家で休日を過ごす事が多かったから、この家には彼との思い出が多過ぎる。
お風呂に入る時も、そうだった。

「ドアを閉めて入浴だなんて、輪廻は意地悪だね。」

夜くんの意味不明な発言の中でも特に意味の分からない言葉だったように思う。
この言葉を初めて聞いた時には、さすがに聞こえないふりを決めこんだ。
彼の愛情表現で理解出来る事は、数少ない。
言葉が直接的過ぎるというか、思ったままを直球ストレートで投げつけてくるものだから、夜くんの言葉の裏に隠された愛情が、分かりづらくなってしまう。