君が居た世界が、この世で一番愛した世界だったから。

答えてくれない海に身を委ねる様に、その音を聴き続けた。
あの日と同じように、木の棒を握る。
ゆっくり弧を描くハートマーク。棒に刺さる三角形。
「輪廻」の文字に、並ぶのは、空白。

定員不足の相合い傘を、無情にも波は、かき消した。
何も答えてくれない癖に、現実だけしっかりと突きつけてくる海に、私は小さく笑って、息を吐いた。