君が居た世界が、この世で一番愛した世界だったから。

「夜くん。」

名前を呼んでも返って来ることは、無くなってしまった。
本当だったら今も隣に居たはずだったのに、その存在は空っぽのまま、私の呟きは、海が静かに受け止めた。

陽が落ちかけて、少し肌寒くなってきた風から守るように、独りぼっちの体を丸める。
彼の不在から二ヶ月が経とうとしていた。
一生のうちの二ヶ月だ。
大した月日では無い。
けれど、思うより大きくなっていた存在に愕然とし、また、あの日々から今に至るまでの気持ちの矛盾にウンザリしていた。
心底ウンザリする毎日を繰り返し、心は疲れきっていた。

こんなに辛いなら、もう忘れてしまえば良い事なのに、どうそて私はそれが出来ないのだろう。