君が居た世界が、この世で一番愛した世界だったから。

けれど、良くない思い出ばかりでは無い。
今、私がしているように、二人で砂浜に腰をおろして、行っては来る波を見送り、そして迎えた。

夜くんは静かな声で言った。
人に聞かせない様にしているみたいに、小さな声だった。

「海の向こう側に何が在るのかなんて、俺は考えない。」

唐突な言葉に、私は訊いた。

「私は結構、気になるけどなぁ。
夜くんは見れない場所に、ロマンは感じませんか?」

「今、目の前に在るモノがすべてだ。
この場所に俺が居て、隣に輪廻がいる。だからこうして…。」

軽い口付けを交わす。

「こうして…、キスが出来る。
輪廻が居る事を繰り返し感じる事が出来る。それが全てだ。
君の居ない世界なんて要らない。
君が居ないのなら、世界がどうなったって良い。
君が居ないなら、世界が在る意味も、俺が居る意味も無いからね。
輪廻、愛してる。愛してるよ。
それ以外、伝えたい言葉がない。」