君が居た世界が、この世で一番愛した世界だったから。

「どうしても水着が着たいって言うのなら、家に帰ってから、いくらでも着ればいい。」

そう言ってのけた夜くんの、言っている意味が私は分からなくて、ぽかんとした。
苛立ちは収まるどころか、強くなって、私は言った。

「どうしてよ。家の中で着たって意味ないじゃない。
せっかく夜くんと海に行くから、新しい水着を着たいのに。
家のどこで泳げって言うの?庭で水遊びでもさせるつもり?」

どうして私がそこまで怒るのか、不思議そうな顔をして、彼は「輪廻が庭で水遊びをしたいなら、付き合うけど。」と言った。

結局は、夜くんは多勢の人が集まる場所で、私に露出して欲しくなかったのだ。

「輪廻の肌が、汚らわしい奴らの目に触れるなんて許せない。
そんな事になったら、楽しい海水浴場を、血の海に変えなくちゃいけなくなる。」と、平然と言った夜くんに、私は呆れるばかりだった。
その他多勢の人にチヤホヤされたかったわけでは無い。
そもそもその他多勢の人達だって、私の水着姿に興味なんか無いだろうに。
私は一体、何様だっていうのだろう。
私はただ、夜くんに、可愛いね、って言って欲しかっただけなのに。

そこまできたら、もう反論する気にもなれなくて、イジけながらもTシャツにショートパンツ姿で海を「眺めに」来た。

それでもショートパンツから覗く脚に、「露出しすぎだよ。」と、夜くんは少しご機嫌斜めで、だから夜くんと来たうみに、あまり良い思い出があるわけでは無かった。