君が居た世界が、この世で一番愛した世界だったから。

適当な場所でバスに乗り、繁華街の方から少し外れると、海に着く。
バス停からは少し歩かなければいけないけれど、少し離れていても、風が海の匂いがした。

夏になれば海水浴場としても賑わう海だ。
大きなレジャースポットの様に、施設が充実しているわけでは無いけれど、地元の人達はほとんどがこの海を利用している。
夏が終わってしまった今は、大きな海だけが、そこにポツンと取り残されていた。

「よい…っしょ。」

砂浜に体操座りをして、ぼんやり海を眺めた。
海は、何も訊かないでいてくれる。
ただ黙って行ったり来たりさせている波の音を聴いていると、不思議とぽつりぽつり、私は一人で話していた。