君が居た世界が、この世で一番愛した世界だったから。

雑誌のページを一枚一枚めくりながら、最後の占いも、次号の付録の案内も何と無く眺めながら、欲しい物なんか何も無い事に気がついた。

何を手に入れても、何を着ても、あのモデルの女の子の様には笑えない気がした。
どんな服を着ていても、一番に喜んでくれる彼は、もう居ない。
私がする事、私が着る服、その全てに喜んでくれる人が居て初めて、「だから私も嬉しい」と思えるのに。

彼は口癖の様に言っていた。

「どんな姿をしていても、輪廻は素晴らしく綺麗だよ。
だけど一番美しいのは、産まれたままの姿なんだ。
それ以上に素晴らしい物なんてこの世界に在りはしない。」と。

どんな姿になったって、もう夜くんには見えはしない。
何を着ていたって、私は心から「嬉しい」と、笑う事が出来ない気がした。