──ただ会いたかったんだ。

冷たくされても、何とも思われていなくても。

私は、こんなにもそらに会いたかった。


「……そらに、会いにきたの」


なんとか声が震えないように言うと、そらは一瞬とても切なそうな顔をした。

ゆっくり立ち上がり、部屋の隅にポスターを片付けたそらは、窓際に立ち無表情で私を見つめる。


「俺に関わるなって言っただろ」


再び言われると、気持ちが折れそうになる。

足は怪我をした当時のように固まって動かない。

それでも、もう引きはしない。

そらに近付きたい気持ちだけでゆっくり前へ歩み出した。


「そらにどう思われても……会いたかった。すごく」


俯いたまま、でもしっかりと言葉を紡ぐ。

激しく波打つ鼓動が痛いくらいだけれど。


そらと、月の存在しか感じないこの暗がりの中なら、

もっと素直な心の内を言葉にすることが出来る気がする──。