しょ、初対面の相手にニワトリって……!

少なからずショックを受けたものの、三日月みたいな目をして無邪気に笑う彼を見ていたら、不思議と怒る気はしなかった。


「足、怪我したの?」


彼は私のギプスをはめられた足を見て言った。


「うん、学校の帰りに事故にあっちゃって……」


事故の瞬間はあまり覚えていない。

一時停止を無視したバイクと衝突してしまったらしいのだけれど、幸い骨折だけで済んだ。


「そっか……。早く治るといいね」

「うん! あ、えっと、名前……」


私が遠慮がちに言うと、彼はにこりと柔らかく微笑んで答えてくれた。


「僕は柚希。キミは?」

「私は瑛菜……」

「よろしくね、瑛菜ちゃん」


その時のキミの笑顔はなんだかすごく大人びていて。

この瞬間に、初めて胸がドキンと音を立てたのを覚えている。


これが、私と柚希(ユズキ)くんとの出逢いだった。