一人どぎまぎしていると、そらくんはまたふっと笑みをこぼした。

一瞬だけれど、柚くんを思い出させる柔らかい笑みが見られると、私の胸がキュンと締め付けられる。


「別に気遣わなくていい。呼び方も“そら”でいいし」


え……いいの?

少しだけ砕けてきたことの嬉しさと、呼び捨てにする気恥ずかしさを感じながら話を続ける。


「そらく……そら、は皆とサッカーとかバスケとかやらないの?」

「それより絵を描く方が好きだから」


そんなこと言われると、ますます柚くんとダブるんですけど……。

デジャヴのような感覚を感じながら、花火の絵に視線を落としていると、彼は「それに」と続ける。


「俺、一人でいるのが好きだし」


“一人が好き”……?

私は、花火の絵から彼の伏し目がちな綺麗な目元へと目線を上げた。


そう言われてみれば、そらはいつも一人だ。

特定の友達なんかもいそうな気配がない。

それ以前にそらが誰かと話したり、話し掛けられてる場面すら見たことがない。

それって……。