もういい加減聞くのはやめよう。どうせ答えは決まってるんだから……。

立花さんは子供の頃と同じように、少し屈んで私と目線を合わせる。


「……瑛菜ちゃん」


立花さんは私が何を言おうとしたか分かっているはず。

けれど、返ってきた言葉はいつもと違っていた。


「そろそろ……いいんじゃないかな?」

「え?」

「新しい恋に踏み出してみても」


──わかってる……

何度もそう思ったし、実際告白された人と付き合ってみたりもしたんだよ。


だけどダメだった。どの人も心から好きになれない。

私が好きだと思えるのは、やっぱり一人しかいないんだよ。


「……それが出来れば苦労はしないよ、立花さん」


自嘲気味に笑って、窓の外に見える桜に目をやる。


「ほんと自分でもバカだな〜って思うんだけどね。どうしても、柚くんを消すことは出来ないの……」

「瑛菜ちゃん……」


たぶん、99%は諦めてる。

柚くんはもう私のことなんて忘れて、別の女の子と一緒にいるんじゃないかって。

だけど残りの1%が、私の心を引き留めている。


他の人を好きになれるならなりたいよ。

その方法があるなら、誰か教えて──。