私が細々と始めた雑貨屋も、やむを得ず閉めることになりました。

でも、心配しないでください。

柚くんの描いた絵は、私の中学時代からの親友夫婦の息子に譲り渡すことにしました。


彼は、私達が通っていた高校で教師として働いているのです。

学校に飾ってくれればきっと、いつまでも大勢の人達の目に留まることでしょう。


本当に不思議なことに、あの絵は何十年経っても色あせず、傷の一つも付いていません。

きっと奇跡は続いているのでしょう。

そして、これからも──。



私の人生は、とても幸せなものでした。

夫は最期まで私のことを大切に想い、愛を与え続けてくれて。

私もまた、そんな彼にたくさんの感謝をし、今でも心から愛しています。


けれどそれでも、私にとって柚くんが大切な人であることに変わりはありません。

あなたのことは、生涯誰にも伝えることはありませんでした。


あなたへの、あなたからの精一杯の愛は、

夫にも、娘にも、誰にも知られることのない、私の胸の奥の一番綺麗な場所で、

ずっとずっと、生き続けています。



もしも、生まれ変わったなら

また、逢いましょうね──。