「さて、気を取り直して、謝恩会パーッとやろう! 食べるぞー!」

「お前は結局食い気か」


切り替えが早い凛を小突く桜太くん。

そんな二人のやり取りを微笑ましいなと思いつつ、


「私はその前に寄る所があるから、先に行っててね」


と言って、不思議そうな顔をする二人に笑いかけた。


教室を出ると、あの時の占い師をやっていた黒髪の女の子と偶然会った。

彼女も私に気付いたけれど、こんな晴れの日にも関わらずやっぱり彼女は無表情。

そんな彼女に、私はにこりと笑いかけながら言った。


「私、自分なりの幸せを見付けるために頑張るよ! 助言をくれてありがとう」


あの時の占いで言われた、“幸せの形は人それぞれ”という言葉の意味が、今ならわかる気がする。

すると、彼女は初めて私に僅かな笑みを見せてこう言った。


「……あなたは幸せになれますよ。絶対」


相変わらず、やけに説得力のある言葉が素直に嬉しくて。

私は満面の笑顔で「ありがとう。元気でね!」と返した。