──その時。

ドーンと大きな音が地響きのように轟いて、夜空に綺麗な花が咲いた。


文化祭、最後のイベントの花火。

その明かりが、一つだけこの場所に似つかわしくないものを照らし出す。

“それ”に近付いた私は、糸が切れた操り人形のようにズルズルと地面に座り込んだ。


クローバーが一面に覆った、柔らかな緑の絨毯の上。

海を眺めるようにしてひっそりと佇んでいる、

しっかり“柚希”と名前が刻まれた、小さな墓石──。


「ゆず、くん……」


キミはずっと、ここにいたんだね──。



『よろしくね、瑛菜ちゃん』


柚くん……


『僕は……絵を書く仕事をしたいな』


柚くん──!


『絶対、また会おうね』