幾千もの星が輝き、大きな三角形を作り出している夏の夜空の下。

校舎を飛び出した私は、ある場所に向かって走った。


やがて見えたのは、白い人工的な明かりが灯る総合病院。

自動ドアが開くのを待つのももどかしく、少し開いた隙間から体を滑り込ませる。


「どうなさいました?」


息を切らせながら走り込んで来た私を、時間外受付の女性が怪訝そうな顔で見る。

もう面会時間はとっくに過ぎているけれど、私はお見舞いに来たわけじゃない。


「あの……立花さん、いますか……っ!?」


立花さんにどうしても聞きたいことがあるの。


「どういったご用件でしょうか?」


困ったような笑みを貼り付けて、私を宥めるように言う女性。

もう、一刻も早く会いたいのに……!


「えっと、その、立花さんに話が──!」

「瑛菜ちゃん!?」


あぁ、神様はまだ私の味方なのかな……?

タイミング良くエレベーターから降りた立花さんが、私のもとに駆け寄ってきてくれた。