Side苺香


離して欲しい。

風斗くんのいると胸が苦しい。


風斗くんは少し乱暴に私を抱き寄せる。


「っ。」


やめて、やめて。


本当は嬉しい。

風斗くんに抱き締められて嬉しい。

でも、そこに気持ちがないのならただ苦しいだけだ。


「からかわないでよ。思わせ振りな態度なんてとらないで。」


自分でもびっくりするくらい弱々しい声。


そして頬に涙が流れる。


「こんな想いなんてしたくないよっ。」


惨めだよ、私。